シュテファン・ツヴァイクの『マリー・アントワネット』(1982年12月20日発行第4刷)に挟まれていたしおりである。
ツヴァイクは、マリー・アントワネットは、単なる平凡な女であったとする。貴族側から見たすばらしい王妃であるという評価と、革命を起こした側の評価とが真逆である状況において、中立を保とうとし、時代のうねりに翻弄される一王妃の姿を描いた。本の表紙には、こうある。
どこと言って非凡なところなどない人間に、歴史は大きな役割をふりあてることがある。虚名のみ高く、毀誉褒貶半ばするマリー・アントワネット。ツワイク (1881‐1942)はその生涯を、あるいは王家の寝所の秘事に、あるいは国民議会の緊迫した局面にと巧みな筆運びで追い、ひとりの平凡人に凝集する壮 大な歴史のドラマを展開する。
岩波文庫別冊 フランス文学案内 渡部和夫・鈴木力衛 著である。